研究課題
今年度は、特にブラックホール準固有振動からのリングダウン重力波探索について進展があった。我々はマッチドフィルタ解析をこの重力波波形にも応用してきたが、これによる検出において、もし実際の重力波であればどの程度でブラックホールの物理量を推定できるのかの評価が見積もられた。それによれば平均的な銀河イベントについては、ブラックホールの質量を2〜10%程度で、Kerrパラメーターについては40〜60%程度で推定できることがわかった。特に質量分解能については、将来的にブラックホールの物理について知見を得られる可能性が大きい。また一方ではTAMA-LIGOの同時イベント解析も進んだ。TAMA計画の他研究者およびLIGO側研究者の協力を得て、バースト重力波についてはTAMA DT8-LIGO S2のデータ解析が終わり、連星合体重力波については10%のテストデータでの各種パラメーターの分布や閾値設定が終わった。バーストについてはLIGO単体での観測上限値を改善し、連星合体については検出器を組み合わせたことにより銀河イベントに対する検出効率が20%近く改善された。これらとはべつに、将来計画LCGT干渉計での同時解析のシミュレーションも開始した。LCGTでは2台が同一サイトに建設予定であるので、雑音自体が2台の間でクロストークして真のイベントの検出性能を悪化させることが懸念である。シミュレーションの結果、定常的な雑音が30%程度クロストークしても、連星合体やブラックホールリングダウン解析では偽イベントの増加は10倍程度に収まることが確かめられた。
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すべて 雑誌論文 (5件)
Classical and Quantum Gravity Vol.20,No.17
ページ: S761
Physical Review D 70
ページ: 042003
ページ: S697
Classical and Quantum Gravity Vol.21,No.5
ページ: S703
Preprint archive gr-qc/0410037 0410037(submitted to P.R.D)