研究課題/領域番号 |
14047202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坪野 公夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10125271)
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研究分担者 |
安東 正樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90313197)
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キーワード | 重力波 / レーザー干渉計 / 鏡 / 防振 / ダンピング / 倒立振り子 / 微少振動 / 精密計測 |
研究概要 |
本計画研究では、低周波防振装置SAS(Seismic Attenuation System)の基礎技術開発を目的とした研究をおこなっている。具体的には、Caltech-東大・国立天文台の3グループの共同でSASを開発・試作し、それを東大の3mプロトタイプレーザー干渉計に組み込み防振特性等の性能評価をおこなった。 また、SASの開発と同時に、その周辺の開発研究も進めている。具体的には、防振系の3次元シミュレーション、防振系と密接な関係をもつミラー懸架装置の開発、ミラー材料の機械損失研究、これらの要素を組み合わせて総合的性能を試験するためのミラー熱雑音の実測等の研究項目である。これらの研究を有機的に組み合わすことによって、レーザー干渉計の最も重要な要素であるミラーおよびその周辺を含めたシステム全体の高感度化が実現される。 SASに関しては、3mのFabry-Perot光共振器を実際に動作させる実験を行い、1Hz〜10Hzの帯域では、従来のTAMA300の感度を100倍から1000倍程度改善することが可能であることを実証することに成功した。 また、われわれはSuspension Point Interferometer(SPI)とよばれる、干渉計をセンサーとして用いた能動防振装置を開発した。さらに、Vertical SPI(VSPI)とよばれるシステムをSPIに組み込んだプロトタイプを開発中で、より高い周波数まで防振効果の得られるシステムの実現を目指している。 われわれは、約100Hzから100kHzの3桁に渡り、鏡の熱雑音を測定することに成功した。これにより、鏡の共振周波数から離れた帯域での熱雑音を直接理論と比較することが可能となった。このような広い帯域で機械系における揺動散逸定理が実験的に検証されたのは世界で最初である。
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