今年度は既に前年度に製作した^<87>Rb原子のレーザー冷却システムおよびラマン遷移用光位相同期半導体レーザーシステムを用いて原子干渉計の基本動作の検証を行った。最初に同方向の2台のレーザー光による誘導ラマン遷移による超微細状態間のラビ振動を3サイクル以上に渡って観測することができ、これによってビームスプリッター(π/2パルス)および鏡(πパルス)を実現するのに必要なレーザーの離調、パルス幅幅、光強度を得ることができた。この条件の基で、2つのパルスによる内部状態の干渉信号であるラムゼー共鳴を観測することができた。次にπ/2、π、π/2の3つのパルスによっても干渉信号が得られることが確認できた。次に水平方向の対向する2つのレーザー光を用いて同様の3つのパルスによる原子干渉計の動作の確認を行い、何らかの干渉信号が得られた。このため、今後装置の改良を加えてレーザー光の周波数掃引を行うことにより垂直方向のレーザー光による重力加速度が観測可能な原子干渉計の基本動作を実現できる見通しが得られた。 これと並行して磁場によるマイクロ原子導波路を用いた集積化原子干渉計の開発を行った。Si基板に電流を流すための微細な金パターンを作成したアトムチップを試作し、現在、これを用いて^<87>Rb原子を捕捉してボーズ凝縮を生成する準備を進めている。
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