研究課題
レーザー干渉計の高感度化において、鏡や懸架系を低温に冷却することが本質的である。観測の長期化、観測環境を考慮し、電力および冷却水供給のみで長時間冷却が可能である小型冷凍機を使用する。4Kの極低温まで発生できる小型冷凍機の中で、パルス管冷凍機は固体ピストンが不要であるため、振動低減が期待された。低温でも測定可能な光センサーによる振動測定装置を開発し、加速度計と併用して小型冷凍機の振動解析を行なった。その結果、小型冷凍機には2種類に振動が存在することをつきとめた。ひとつは冷凍機コールドヘッド周辺で発生する切替バルブ駆動モーターや固体ピストン等による振動、もう一つは低温発生に本質的なガスの圧縮・膨張による冷凍管の伸縮によるものである。前者はパルス管冷凍機の場合GM冷凍機に比べ、2桁の振動低減ができることがわかった。後者はパルス管でもGMでも同程度(〜20μm)であった。振動の開発目標は低温端で0.1μm以下であり、100m基線長のCLIOでは鏡と懸架系冷却用4K小型冷凍機およびシールド冷却用80K小型冷東機が複数台必要であるため、住友重機械工業との共同開発を進めてきた。振動低減のため、熱リンク機構の開発や低剛性、項熱伝導率の高純度アルミ撚線の開発などにより、垂直方向での振動を、従来に比べ3桁低減の〜0.04μmまで落とすことに成功し低振動冷凍機開発の当初の目的を達成した。関連する技術により3件の特許申請を行なった。鏡や懸架系を冷却するため振動伝達を抑制した熱リンクが不可欠である。このため、低剛性高純度アルミ撚線を開発しバネ定数や熱伝導度の測定を行なった。さらにサファイア鏡で発生した熱は鏡を吊るサファィアファイバを伝って吸熱されるが、鏡とファイバ間の熱抵抗を低減するため、サファイア-サファイア接着技術に関する開発も進めた。
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