TAMA300による重力波探査

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14047219
• 研究機関: 国立天文台
• 研究代表者: 藤本 眞克 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 教授 (90107475)
• 研究分担者: 新井 宏二 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (50321584) ; 高橋 竜太郎 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (60270451)
• キーワード: 重力波天文学 / レーザー干渉計 / 重力波検出

研究概要

基線長300mの重力波検出用レーザー干渉計TAMA300の性能向上をめざして調整・改良を進めるとともに、運転が始まった米国LIGO干渉計群や独英GEO600干渉計との同時観測運転を行って銀河系近傍の重力波探査を実施した。具体的には、1 平成13年度後半に導入したリサイクリングシステム込みのTAMA300の調整・改良を進め、当面の目標であったシステム導入前の感度レベルを再現したのち、リサイクリング導入の効果として高周波域で感度の向上が達成された。また、これに関連して、レーザー光源部の周波数および強度の安定度を強化した。
2 干渉計の長期運転に備えて、調整箇所各部の自動化を進めた。また一部のデジタル化も開始した。
3 米国LIGO干渉計群および独英GEO600干渉計との同時観測を実施した。まず8月末に数日間の試験観測を行い、次に2月中旬から2ヶ月間の同時観測を実施している。これは世界で初めての本格的な重力波探査観測で、将来の国際観測網形成への第一歩となった。
4 観測データの解析としては、連星合体だけでなく合体後の準固有振動に対する解析アルゴリズムの開発や同時観測データの解析準備を行っている。また、観測中の実時間モニター用データ解析も整備した。
5 これらに並行して、低周波防振SASのTAMA300への導入準備も進めている。

研究成果

• [文献書誌] K.Arai: "Sensing and controls for power-recycling of TAMA300"Class. Quantum Grav.. 19. 1843-1848 (2002)
• [文献書誌] R.Takahashi: "Improvement of Vibration Isolation System for TAMA300"Class. Quantum Grav.. 19. 1599-1604 (2002)
• [文献書誌] Z.H.Zhu: "Cardassian Expansion : Constraints from Compact Radio Source Angular Size Versus Redshift Data"Astrophys.J.. 581. 1-4 (2002)
• [文献書誌] T.Tomaru: "Evaluation of the performance of polished mirror surfaces for the TAMA gravitational wave detector by use of wave-front tracing simulation"Appl.Opt. OT. 41,28. 5913-5920 (2002)
• [文献書誌] R.Takahashi: "Direct measurement of residual gas effect on the sensitivity in TAMA300"J.Vac.Sci.Technol.. A20. 1237-1241 (2002)
• [文献書誌] S.Nagano: "Development of a light source with an injection-locked Nd : YAG laser and a ring-mode cleaner for the TAMA300 gravitational-wave detector"Rev.Sci.Inst.. 73. 2136-2142 (2002)
• [文献書誌] R.Takahashi: "Vacuum-compatible vibration stack for an interferometric gravitationl wave detector TAMA300"Rev.Sci.Inst.. 73. 2428-2433 (2002)
• [文献書誌] Z.H.Zhu: "Constraints on Cardassian Expansion from Distant Type Ia Supernovae"Astrophys.J.. 585. 52-56 (2003)