研究課題/領域番号 |
14048101
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
太田 幸雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00100058)
|
研究分担者 |
今須 良一 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (40334255)
北田 敏廣 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40093231)
塩原 匡貴 国立極地研究所, 南極圏環境研究センター, 助教授 (60291887)
|
キーワード | 大気エアロゾル / 地球冷却化効果 / 地球規模エアロゾル分布 / 大気大循環モデル / 地表気温変化 / 東アジア / 直接効果 / 間接効果 |
研究概要 |
大気エアロゾルは、日射を散乱・吸収することにより地表に到達する日射量を減少させ、地球を冷却する。また水溶性のエアロゾルは雲粒生成の際の凝結の核として働くため、その増加すると、生成される雲粒はより粒径の小さいものがより多い分布に変化する。このため雲層の日射反射率が増加し地球を冷却化する。本特定領域研究のA04項目では、特に東アジアにおけるこの冷却化効果を評価するために、大気エアロゾルの光学的厚さ(地表から大気上端までの消散係数の総和)や粒径分布、散乱係数、吸収係数などの光学特性および煤や有機物、硫酸、土壌粒子などの化学組成について、長崎県福江島、鹿児島県奄美大島、沖縄県宮古島、東京都小笠原父島、さらに乗鞍岳において観測を継続している。特に父島においては冬季〜春季にしばしば汚染エアロゾルの濃度が急増しており、アジア大陸からの長距離輸送が確認された。これらの観測値を検証値として、人工衛星により測定された輝度データを用い、エアロゾルの光学的厚さの広域分布を算出する研究も遂行中である。さらに釜石鉱山の立坑を用いて、上昇気流により雲を発生させ、水溶性エアロゾルを坑底から注入することにより、雲の生成・変質過程を実規模で観測する実験も行っている。本年度は硫酸アンモニウム粒子の注入による雲粒数の増加と粒径の減少効果を確認した。また、エアロゾルの発生源データを収集するとともに、光化学反応過程および地表面からの乱流による黄砂などの土壌粒子の舞い挙げ機構をも考慮した、地球規模での各種エアロゾルの生成・輸送モデルの作成も遂行中である。さらに、これらの結果を適用して、東アジア域におけるエアロゾルの増加に伴う地表気温の低下量を推定するために、大気大循環モデルへの取込みスキームについて検討を行っている。また、エアロゾルのどの因子が温暖化抑制効果に最も大きく寄与するか、いわゆるエアロゾルの各因子の温暖化抑制効果に対する感度解析についても遂行中である。
|