温暖化評価のための地球規模エアロゾル分布の推定

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14048211
• 研究機関: 豊橋技術科学大学
• 研究代表者: 北田 敏広 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40093231)
• 研究分担者: 山本 浩平 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助手 (10263154) ; 倉田 学児 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (90283506)
• キーワード: 全球モデル / 炭素含有エアロゾル粒子 / 元素状炭素粒子 / 有機炭素粒子 / 浮遊粒子状物質 / 大気汚染輸送 / 東アジア / ヒマラヤ

研究概要

本研究は、人為、自然の種々のソースを持つエアロゾルの全球分布を予測するモデルの開発を目的としている。特に、東アジアのエアロゾル大気環境を全球的な影響の中で捕らえることを目的としている。本稿では、炭素含有エアロゾル粒子について、全球排出源の調査と、それを用いた濃度分布の試算を行った。さらに、東アジアで特に重要な土壌粒子の巻き揚げ機構・排出量分布についても検討したので報告する。初めに炭素含有エアロゾル粒子について述べ、続いて土壌粒子について述べる。炭素含有エアロゾル粒子に対して得られた結果は、(1)夏季から秋季にむけて(1994年9-10月)、中国、韓国、日本に対する域外排出源の寄与は、局度10km以下のカラム量に対して、大きい所でも10-15%と推測される。(2)炭素含有エアロゾル濃度の全球分布に対して各排出源の地域的な寄与特性を見るために、全濃度に対する植物起源、化石燃料燃焼、バイオマス燃焼の寄与率(%)の分布を図化した。これらの図は、炭素含有エアロゾル濃度に対して、地域的に異なるかなり明確な主ソースがあることを示した。中国南部内陸、オーストラリア、中米、カナダ、スカンジナビア、中部アフリカは、植物起源のOCが卓越しており、一方、北部アフリカを含む西部ユーラシア大陸、東アジア、米国の東部と西部は化石燃料の燃焼が大きく寄与することが示されている。北半球中緯度の炭素含有粒子は、ほとんどの場合化石燃料起源であることを示唆する。バイオマス燃焼放出の中心をなす森林やサバンナの火災には、かなり明確な季節性があって、対象とした9,10月は南半球で活発な時期に相当する。むろん、その季節性を強く反映したものであるが、南アフリカ、南米では、このバイオマス燃焼が炭素含有粒子の主たる供給源であることが示唆された。インド洋、南太平洋、南大西洋のような遠隔地の大気に対してもバイオマス燃焼が主たる炭素含有粒子源であることを示唆された土壌粒子の巻き揚げに対しては、新しい簡便な定式化を示した。

研究成果

• [文献書誌] Regmi, R.P., Kitada, T., Karate, G.: "Numerical simulation of late wintertime local flows in Kathmandu valley, Nepal : Implication for air pollution transport"Journal of Applied Meteorology. 42. 389-403 (2003)
• [文献書誌] Kitada, T., Regmi, R.P.: "Dynamics of air pollution transport in late wintertime over Kathmandu valley, Napal : As revealed with numerical simulation"Journal of Applied Meteorology. (to appear).
• [文献書誌] Regmi, R.P., Kitada, T: "Human-air pollution exposure map of the Kathmandu valley, Nepal : Assessment based on chemical transport simulation"Journal of Global Environment Engineering. Vol.9(to appear). (2003)
• [文献書誌] Carmichael, G.R., Tang, Y., Kurata, G., et al.: "Regional-Scale Chemical Transport Modeling in Support of Intensive Field Experiments : Overview and Analysis of the TRACE-P Observations"J. Geophysical Research. (to appear).
• [文献書誌] Kitada, T., Kurata, Yamamoto, K.et al.: "Global Chemical Transport Model with Refined Mesh for East Asian Area -Evaluation of Relative Importance of Various Emssion Sources on Aerosol and Ozone"8-th International Conference on Atmospheric Sciences and Application To Air Quality. 37 (2003)
• [文献書誌] Yamamoto, K., Aoyama, M., Ito, K., Kasahara, M., Kitada, T., Kurata, G.: "Development of long-range transport model for mineral dust in East Asia"6-th International Aerosol Conference. 381