研究概要 |
コリメーター付ビームストップを用いたSR(シンクロトロン放射光)μ-XRD分析システムを開発し,既知鉱物粒子を用いてX線回折パターンを計測し、その有効性を明らかにした。さらに,Sなどの軽元素の化学状態を同定するために,SRマイクロビーム+WDX分析システムを開発し,Fe標準試料でFWHMが2.5eV程度の高分解XRFスペクトルの取得に成功した。 走査型放射光X線顕微鏡により,エアロゾル捕集装置として海外で広く用いられているMOUDI捕集面における粒子の4元素の質量分布を計測し,角度方向は一様であるが,動径方向の一様性に問題があることを明らかにした。 黄砂時及び非黄砂時における日韓の同時サンプリングにより,両地点における個別粒子ごとの化学性状の差異を明らかにし,黄砂時にはMn,Cu,Ni,Znの顕著な増加が認められた。また、黄砂発生源である異なる黄土地域の砂粒1個についてNi,Cu,Pbなどの微量元素の2次元分布,XRFスペクトルの差異を明らかにし,元素の構成割合から試料の種類が識別可能であることを示した。 海塩粒子の変質過程を明らかにするため、隔月別エアロゾルサンプリングを実施し、混合薄膜法を用いることで,冬季にCl-/NO_3-及びSO_4^2-/NO_3-内部混合粒子の割合が増加すること,バルク分析では分析上の問題からサンプリング時間が長時間に及ぶため,平均的にみると塩素損失が顕著である場合でも,薄膜法では捕集時間が短時間であるため,塩素損失がわずかである粒子の存在を明らかにした。
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