研究概要 |
本研究では、日本、中国、韓国、台湾等を含む、東アジア地域における人為起源・自然起源エアロゾルの時空間分布を高分解能で再現するエアロゾル動態シミュレーションモデル(対流圏物質輸送モデル)を用いて、既存の観測データや、本特定研究で観測される結果を対象としたモデル研究を進めた。主な成果は以下の通りある。 RAMS/CFORSを用いたエアロゾルの輸送解析を進めた。ACE-Asia期間の水平分布と収支にはUno et al.(2003),Satake et al.(200)に報告した。CFORSモデルで再現された黄砂濃度と硫酸塩濃度の時間変化をCahill et al.(2001)とVMAP観測網の結果と比較し、CFORSモデルの再現性の高さが示された。しかし、Al濃度からモデルの台湾、八丈で過大評価の傾向が判り、モデル内の湿性除去プロセスの再検討の必要性が示された。 RAMS/CFORSを用いた黒色炭素のACE-Asia期間の解析は、Uno et al.(2003b)で既に報告した。今年度は、計算期間をVMAPの通年観測に対応して、RAMS/CFORSの計算を2001年1月から2002年4月まで行った。Black Carbonの発生源としてTakemura et al.結果を用いた。CFORSによる結果は、利尻、佐渡、八丈島、父島で検証した。その結果、夏季の利尻を除いてモデルと観測の濃度変動によい一致が見られ、収支解析を進めた。 RAMS/CMAQによる年々変動解析の準備を進めた。即ち、大気中の二次粒子(硫酸塩、硝酸塩)の輸送、沈着の長期計算を行うために、大気中の2次生成過程を取り扱うことの出来る物質輸送モデルCMAQ(Community Multi-scale Air Quality model)を用いた研究を進めた。CMAQを用いた計算は、1985,1995,2001年を当面の対象年として通年計算を行うこととした。CMAQは2003年9月に公開されたCMAQ Version 4.3を採用し、RAMSとのインターフェースの準備とテスト計算を継続した。
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