研究概要 |
平成13年と14年春中国の青島市と日本熊本県天草高浜で非黄砂時と黄砂時に大気エアロゾル粒子を採集した。採集された粒子中の鉱物粒子について電子顕微鏡とEDX(元素組成測定装置)を利用して分析が行われた。測定と分析により以下の結果が得られた. (1)青島の黄砂粒子中に約9割の粒子は変質が見られなかった.それに対照して,熊本の黄砂粒子中に約8割の粒子は海塩成分と混合した. (2)青島と熊本で採集された主な黄砂粒子の組成が違ったが,粒径分布は似ていることが分かった.ピークは3ミクロン前後で,範囲は1.5から7.5ミクロンであった. (3)中国から日本に来る途中に,約9割の黄砂粒子は硫酸塩の生成により,約7割の黄砂粒子は硝酸塩の生成により変質されたことは見出された. (4)黄砂粒子中の鉱物成分は,海洋大気中に硫酸塩の生成を促す効果と,化学反応により海塩から塩素の損失を抑える効果について新たな根拠が得られた.
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