研究課題/領域番号 |
14048220
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田中 茂 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10137987)
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研究分担者 |
賀 克丈武 精華大学, 環境工学科, 教授
奥田 知明 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (30348809)
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キーワード | エアロゾル / 有害金属 / 超高感度計測 / LA / ICP-MS / 越境大気汚染 / 東アジア |
研究概要 |
レーザーアブレーション法により、大気粉塵中有害金属を効率よくレーザー光で溶発・気化するレーザー光の照射条件について検討を行い、大気粉塵試料をレーザー光で溶発・気化する専用のレーザーアブレーションチェンバーを設計し試作した。レーザーアブレーション(LA)分析法により大気中有害金属の効率的な分析が可能となったことから、この超高感度な分析法(LA/ICP-MS)に対応したエアロゾルサンプラーの開発を行った。従来のエアロゾルサンプラーとしては、大容量の大気を吸引するハイボリュウムサンプラーが代表的であるが、開発されたLA/ICP-MS法は極めて高感度であり多量の粉塵試料を必要としないことから、従来のエアロゾルサンプラーの概念とは大きく異なる極めてコンパクトなサンプラーを設計した。具体的には、47mmφの1つのフィルター上に、大気粉塵を3mmφのスポット状に1日ごと36カ所に採取し、一ヶ月間人手をかけずに自動連続的に1日ごとの大気粉塵試料を採取できるエアロゾルサンプラーを開発した。次年度は本サンプラーの性能評価を行う予定である。 次に、東アジアからの大気汚染物質の長距離輸送の実態と輸送過程を解明するために、大気粉塵中有害金属の実態調査を行った。具体的には、日本周辺の離島(利尻島)において、前年度までに開発したエアロゾルサンプラーを設置し大気粉塵の採取を行った。また並行して、発生源データを把握するために中国北京市(清華大学)において大気粉塵の採取を行った。採取したそれぞれ数百を越える大気粉塵試料は、本研究により開発されたLA/ICP-MS分析法を用いて15種類の金属の測定が行われた。東アジアからの大気の流れを推定する後方流跡線解析の手法を用いて大気粉塵中金属の分析データを解析した結果、東アジアから日本近海への大気粉塵の長距離輸送の実態が明らかとなった。
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