(1)紫外域センサーによる対流圏エアロゾル観測手法開発 直接法をGOMEのデータに適用することにより、おおまかなエアロゾルタイプの全球分布の特徴を捉えることが可能になった。また、直接法を用いた解析における誤差を見積もった結果、光学的厚さを見積もる上ではエアロゾル層高度、粒径を見積もる上ではGOMEピクセル内角度差が最も大きな誤差要因となることが分かった。これらの誤差を小さくするには、エアロゾルの高度分布情報の取得、空間分解能の優れたセンサを使用することが有効なことを確認した。 (2)ゾンデ搭載機器によるエアロゾル特性の高度分布の観測 前年度に開発した気球搭載粒子計数装置を用いて、2003年5、6、8、10、12月、2004年3月に計7回、高度約30kmまでのエアロゾル粒径分布を観測した。ライダーとの同時観測として実施し、晴天時の自由対流圏のエアロゾル分布の季節的変動を把握することができた。また、それぞれの時期に特徴的に現れるエアロゾル層について、起源による粒径分布の特徴の違い、共存する水蒸気量の違いがあることなどを明らかにした。 2003年6月に無人航空機による境界層内外のエアロゾル鉛直分布の観測、サンプリングを行った。混合層の発達に伴う混合層と自由対流圏の境界におけるエアロゾルの混合過程を10m程度の高度分解能で捕らえた。 (3)光学粒子計数装置の非球形粒子に対する応答特性の検討 光軸交角60度と90度の光学系の非球形粒子に対する応答特性を、実験的に発生した単分散非球形粒子を用いて検討した。塩化ナトリウム粒子に対する応答特性はそれぞれ異なった特徴を示した。偏光成分分析と併用することで非球形粒子を含んだエアロゾル群の粒径分布を導くことが有効な手法となることを確認した。
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