研究課題
自動運転ライダーによる連続的なネットワーク観測によるエアロゾルの空間分布の把握と、高機能のミー、ラマン散乱ライダーによるエアロゾルの光学特性の精密測定の両面から東アジアのエアロゾル性状の空間分布特性の観測研究を進めた。中国の北京、フフホト、合肥、韓国のスウォンなどを含む東アジアの11の地点の自動運転ライダーにより連続観測を行い、偏光解消度を用いて黄砂と大気汚染エアロゾルの消散係数の高度分布を分離して推定した。これを用いて、黄砂と大気汚染エアロゾルの分布と動態の特徴を解析した。例えば、北京では地域規模の大気汚染の特徴が顕著であるのに対して、約450km西に位置するフフホトでは地域規模の汚染の影響はあまり見られず、局所的な汚染を示すエアロゾルの時間高度分布のパターンが見られた。また、ライダーから得られた黄砂および大気汚染エアロゾルの消散係数を化学輸送モデルCFORSで計算した各種エアロゾルの消散係数と比較した。この結果、モデルが東アジアのエアロゾル(黄砂、大気汚染、バイオマス燃焼など)の動態の概略を再現していることが検証された。しかしその一方で、例えば北京のスモッグの光学特性など、現状のモデルでは再現できない問題も明らかにされた。また、高感度のミー散乱ライダーを用いて、自由対流圏にほぼ常時バックグランド的なエアロゾルが観測され、光学特性も様々であることが示された。雲の生成との関係の重要性が示唆される。一方、多波長ラマンライダーにより、1064nm,532nm,355nmの後方散乱係数と532nm,355nmの消散係数を独立に計測し、森林火災起源のエアロゾルなどの単散乱アルベド、有効半径などの光学特性を導出した。また、継続的な観測を東京において行い、ライダー比の値に季節変化があることが示された。これは黄砂や大気汚染エアロゾルの発生状況や日本への輸送経路が季節によって変化することを示すものと考えられる。今後、混合状態のエアロゾルの光学特性の検討や化学輸送モデルを用いた解析などを含めて研究を進める。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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