本研究では、ガラス基板上に微細加工技術を用いてサイズ・流路パターンを自在に設計できるマイクロチャネルに、マイクロ電極やパターニングした化学修飾界面を集積化し、マイクロチャネルの特長を利用した新規化学プロセスを開発することを目的とする。これまでに、種々の電極材料によるマイクロ電極の集積化法の開発と、化学機能界面としてフォトクロミック色素を修飾し、これを利用したマイクロ流体の光制御を実現した。本年度は、これらをさらに展開し、電極集積化マイクロチャネルの応用として、(1)高感度検出法を目指した電気化学-熱レンズ検出法の開発とその最適化、(2)有機電解合成反応への応用、(3)酸化チタン薄膜修飾チップによる光触媒合成反応への応用、さらに(4)フォトクロミック色素修飾による光流体制御の定量的解析を進めた。(1)については、微小空間および熱レンズ法の特徴を利用することで、マイクロメートルサイズの空間で従来の電気化学検出に比べ2桁以上の高感度検出が可能となった。(2)では、電解により生成する酸素アニオンを塩基として用いるアルキル化反応、Michael付加などで、選択性、電流効率が大幅に向上した。(3)の例として、ピペコリン酸のワンステップ合成反応をチップにより従来のナノ微粒子分散系とで同程度の効率で実現した。(4)では界面の濡れ性と流体制御力の関係について明らかにした。次年度ではこれらをさらに詳細に検討し、デバイス化へ向けた設計指針を得ることを目指す。
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