2003 年度実績報告書

酸化チタン光触媒の高感度化と可視光応答化

研究課題

研究課題/領域番号	14050025
研究機関	東京大学
研究代表者	橋本和仁東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00172859)
研究分担者	大平猛自治医科大学, 一般外科, 助手 (00275695)
キーワード	酸化チタン / 光触媒 / 可視光応答性 / 窒素ドープ / アニオンドープ / 酸化分解 / 光誘起親水性 / 酸化物
研究概要	近年大変注目されている窒素ドープ酸化チタンの可視光応答メカニズムをバンド構造と関連付けて解明し、その知見をもとに酸化分解力向上、親水性の改善を図ることを目的に検討を進めた。また、窒素以外のアニオン(炭素、硫黄)ドープ酸化チタンの検討を行なった。粉末に関してはもちろんのこと、実用面からは薄膜であることがより望ましいので、将来の工業的規模への展開を視野に入れてスパッタ法にて薄膜を製作し、その評価を行った。さらに、酸化チタン以外の光触媒材料の探索を行い、新規な可視光応答型光触媒材料を見出すことに成功した。 1.アニオンドープ酸化チタン粉末、薄膜の光触媒活性の向上(酸化分解・光誘起親水性) 窒素ドープ量の多寡によって酸化チタンのバンド構造が変化し、窒素ドープ量が少ないときは導入された。N2p軌道が酸化チタン価電子帯を構成するO2p軌道と混成せず、窒素ドープ量増加に伴ってN2p軌道とO2p軌道が混成することが、実験第一原理計算の両面から明らかとなった。光誘起親水化活性は、N2p軌道とO2p軌道が混成し始める程度の窒素ドープ量のときに最も優れていた。また、炭素ドープ酸化チタン薄膜、硫黄ドープ酸化チタン薄膜を作製し、親水化特性は窒素ドープ酸化チタンが最も優れることが明らかとなった。窒素および硫黄コドープ酸化チタンがO2p軌道との混成具合から最も光触媒活性が優れることが電子密度状態の計算により示唆された。 2.新規可視光応答型光触媒材料の開発酸化物の構造に注目し単純立方体が最も光触媒活性が優れるという仮説および銀イオンを導入すれば可視光化が可能であるという指針のもと、新規可視光応答型光触媒材料を探索した。その中で、NbO_2Fが紫外光のもとで光触媒活性を示すことを明らかにし、さらに、NbO_2Fの格子間空隙にAg^+を導入することによって紫外光だけでなく、可視光にも応答することを新たに見出した。これらの設計指針は、新規可視光応答型光触媒材料の開発に普遍的なものであると考えられる

研究成果

(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] H.Irie, Y.Watanabe, K.Hashimoto: "Nitrogen-Concentration Dependence on Photocatalytic Activity of TiO_2-xNx Powders"The Journal of Physical Chemistry B. 107. 5483-5486 (2003)
[文献書誌] H.Irie, S.Washizsuka, N.Yoshino, K.Hashimoto: "Visible-Light Induced Hydrophilicity on Nitrogen-substituted Titanium Dioxide Films"Chemical Communications. 11. 1298-1299 (2003)
[文献書誌] H.Irie, Y.Watanabe, K.Hashimoto: "Carbon-doped Anatase TiO_2 Powders as a Visible-light Sensitive Photocatalyst"Chemistry Letters. 32(8). 772-773 (2003)
[文献書誌] M.Miyauchi, A.Ikezawa, H.Tobimatsu, H.Irie, K.Hashimotoi: "Zeta Potential and Photocatalytic Activity of Nitrogen Doped TiO_2 Thin Films"Physical Chemistry Chemical Physics. 6. 685-870 (2004)
[文献書誌] H.Irie, H.Mori, K.Hashimoto: "Interfacial Structure Dependence of Layered TiO_2/WO_3 Thin Films on the Photoinduced Hydrophilic Property"Vacuum. (in press). (2004)
[文献書誌] 入江寛, 橋本和仁: "可視光応答型光触媒の可能性"化学装置. 45(10). 44-49 (2003)
[文献書誌] 橋本和仁, 藤嶋昭: "図解光触媒のすべて"株式会社工業調査会. 308 (2003)

2003 年度 実績報告書

酸化チタン光触媒の高感度化と可視光応答化

研究代表者

橋本 和仁 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00172859)

研究成果

[文献書誌] H.Irie, Y.Watanabe, K.Hashimoto: "Nitrogen-Concentration Dependence on Photocatalytic Activity of TiO_2-xNx Powders"The Journal of Physical Chemistry B. 107. 5483-5486 (2003)

[文献書誌] H.Irie, S.Washizsuka, N.Yoshino, K.Hashimoto: "Visible-Light Induced Hydrophilicity on Nitrogen-substituted Titanium Dioxide Films"Chemical Communications. 11. 1298-1299 (2003)

[文献書誌] H.Irie, Y.Watanabe, K.Hashimoto: "Carbon-doped Anatase TiO_2 Powders as a Visible-light Sensitive Photocatalyst"Chemistry Letters. 32(8). 772-773 (2003)

[文献書誌] M.Miyauchi, A.Ikezawa, H.Tobimatsu, H.Irie, K.Hashimotoi: "Zeta Potential and Photocatalytic Activity of Nitrogen Doped TiO_2 Thin Films"Physical Chemistry Chemical Physics. 6. 685-870 (2004)

[文献書誌] H.Irie, H.Mori, K.Hashimoto: "Interfacial Structure Dependence of Layered TiO_2/WO_3 Thin Films on the Photoinduced Hydrophilic Property"Vacuum. (in press). (2004)

[文献書誌] 入江 寛, 橋本 和仁: "可視光応答型光触媒の可能性"化学装置. 45(10). 44-49 (2003)

[文献書誌] 橋本 和仁, 藤嶋 昭: "図解光触媒のすべて"株式会社工業調査会. 308 (2003)

2003 年度実績報告書

橋本和仁東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00172859)

[文献書誌] 入江寛, 橋本和仁: "可視光応答型光触媒の可能性"化学装置. 45(10). 44-49 (2003)

[文献書誌] 橋本和仁, 藤嶋昭: "図解光触媒のすべて"株式会社工業調査会. 308 (2003)