エアロゾルプロセスを用いた薄膜合成法の一つである静電噴霧沈着法を用いて色素増感型用多孔質チタニア膜を、基板温度、ノズル-基板間距離、溶媒の混合比、噴霧時間などの操作因子を変化させて行い、操作因子と膜形態の関係について検討を行った。その結果、基板温度250℃、噴霧時間2時間、ノズル-基板間距離15mmで、エタノール(ET)とブチルカルビトール(BT)を4:1の体積比率で混合した溶媒を用いた場合、多孔質膜を合成することができた。また、基板温度を一定(250℃)にし、溶媒の混合比を変化させて膜の合成を行ったところ、ブチルカルビトールの割合が増加するに供ない、フラクタル状の表面形態から多孔質状に変化した。基板温度250℃、噴霧時間2時間、ET:BT=4:1の条件で合成した膜を空気雰囲気、450℃で2時間焼成し、X線回折により物質の同定を行った。その結果、回折ピークよりチタニアのアナターセ相を確認することができた。なお、焼成前の膜についてもX線回折による物質の同定を行ったが、アナターセ相の回折ピークは見られなかった。焼成前後における膜形態は、SEMを用いて観察したが、形態の変化は見られなかった。この焼成後の膜を用いて、色素増感型太陽電池を作製し、電流-電圧特性、開放起電力、短絡電流密度、フィルファクターおよび変換効率の測定を行った。その結果、変換効率は1.7であった。また、変換効率と膜形態の間の関係についても検討を行った。
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