研究概要 |
光触媒は既に一部実用化されているが、高機能性を持たせるために更なる改良が期待されている。そこで、本研究では光触媒反応の反応活性種の触媒上での発生場所とその時間依存性について明らかにし、それをもとに新しい高活性な触媒設計を行うことを目的としている。本年度は、酸化チタン表面から気相中に脱離したOHラジカルをレーザー誘起蛍光法により直接検出することで、OHラジカル生成の時間変化の測定を行うとともに、その発生機構を検討した。波長355nmのパルスレーザー光を酸化チタン粉末表面に照射後、遅延時間をおいて色素レーザーの2倍波光(283nm前後)を酸化チタン粉末表面に対して平行に約3〜5mm上部において照射した。酸化チタンから距離を置くと,OHラジカルの発生時間が遅れることから,OHラジカルは表面で発生して拡散することが確かめられた。H_2O蒸気が存在しないと,OHラジカルの発生量が少なくなり,H_2Oがあると定常的に発生した。H_2Oの代わりにD_2Oを用いることで,ODラジカルの誘起蛍光が観測されることから,水からOHラジカルが生じていることが確認された。焼成することで表面の性質を変えるとOHラジカルの生成が増加した。H_2O_2を微量加えるとOHラジカルの生成量は増加した。このことから,OHラジカルはH_2O2の光触媒的な還元から出来ていることがわかった。 我々はすでに酸化チタン光触媒で一重項酸素(^1O_2)を発生する事を見出している。この^1O_2の反応性を調べるために種々の化合物存在下で^1O_2を発生させその減衰を調べた。葉酸が特に反応性が高いことが分かった。さらに,チタニアナノチューブでは粉末状のチタニアにくらべて^1O_2発生量が多いことを見出した。
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