自己組織化されたナノ階層構造を持つ光機能系のデザイン

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14050050
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 高木 克彦 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60023264)
• 研究分担者: 関 隆広 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40163084) ; 木村 真 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30144124) ; 福嶋 喜章 豊田中央研究所, 第2特別研究室, 室長 ; 由井 樹人 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50362281)
• キーワード: チタニアナノシート / メソポーラスシリカ / 積層化複合体膜 / MCM-MPS細孔内 / 光誘起電子移動 / 電荷分離 / MV^<2+>還元体

研究概要

我々は層状金属酸化物半導体(LMOS)であるチタニアナノシート(TN)/メチルビオロゲン(MV^<2+>)複合膜作成と光誘起電子移動について検討した。本計画では、カチオン性ポルフィリンであるテトラメチルピリジニウムポルフィリン(TMPyP)、以下に記すようなメソポーラスシリカ(MCM-MPS)、TN、MV^<2+>で構成される積層化複合体膜の作製を行い、TMPyPからMV^<2+>への光誘起電子移動について検討し、複合体としてMCM-MPS細孔内にTMPyPを担持した複合体の上にさらにTN-MV^<2+>を積層した複合体(系I)と、MCM-MPS細孔内にMV^<2+>を担持した複合体の上に重ねてTN-TMPyPを積層した複合体(系II)の2種を組み立て、両者のシステムでの光誘発電荷分離を比較した。なお、系Iも系IIのメソポーラスシリカの合成法は、いずれもキュービック構造を有するMCM-MPS薄膜を文献に従い合成し^<1)>、TMPyP, MV^<2+>水溶液中に浸積させることで、TMPyP, MV^<2+>の担持を行った。また、電気泳動またはキャスト法により、MCM-MPS薄膜上にTN薄膜を析出させ、MPS/TN複合膜を作成した。また、系Iを光照射すると、MV^<2+>還元体の生成とTMPyPの分解が同時に進行し、TNを介した光誘起電子移動が生じていることが確認された。
一方、系IIに光照射を行うと、MV^<2+>還元体の生成は観測されなかったが、TMPyPの分解物が、等吸収点を持って生成した。これは、TMPyPがTN層間に存在するため、励起TNによるTMPyPの光誘発分解が効率良く進行したことが推定された。以上まとめると、系Iでは、可視光増感反応は起こらなかったが、直接光照射による電荷分離は確認された。

研究成果

• [文献書誌] O.Ohtani, H.Kato, T.Yui, K.Takagi: "Reversible Light Driven Structural Changes between the Mono^- and Bilayer Stacking Alignment in 4-Octadecyoxylstilbazolium Arylcarboxylate Films"J.Am.Chem.Soc.. 125. 14465-14472 (2003)
• [文献書誌] O.Ohtani, T.Furukawa, R.Sasai, E.Hayashi, T.Shichi, T.Yui, K.Takagi: "Effect of Fluorinated Ammonium Counterions upon the Reversibility in E-Z Photoisomerization of Azobenzene Ion Pair Films"J.Mat.Chem.. 14. 196-200 (2004)
• [文献書誌] T.Itoh, N.Ohta, T.Shichi, T.Yui, K.Takagi: "The Self-Assembling Properties of Stearate Ions in Hydrotalcite Clay Composites"Langmuir. 19. 9120-9126 (2003)
• [文献書誌] L.A.Lucia, T.Yui, R.Sasai, S.Takagi, K.Takagi, H.Yoshida, D.G.Whitten, H.Inoue: "Enhanced Aggregation Behavior of Antimony(V) Porphyrins in Polyfluorinated Surfactant/Clay Hybrid Microenvironment"J.Phys.Chem.B. 107. 3789-3797 (2003)
• [文献書誌] T.Shichi, Y.Minamikawa, N.Yasuda, N.Yamada, Y.Okamoto, K.Takagi: "Enantioselective Photopinacolization of Benzophenone and Benzhydrol Intercalated in Mg-Al LDH Interlayers"Chem.Lett.. 240-241 (2003)
• [文献書誌] Z.Tong, T.Shichi, K.Takagi: "Oxidation Catakysis of a Manganese (III) Porphyrin Intercalated in Layered Double Hydroxide Clays"Mat.Lett,. 57. 2258-2261 (2003)
• [文献書誌] 由井樹人, 高木克彦: "ラミネート型有機/無機複合体の光化学,66(4)"日本写真学会誌. 326-340 (2003)