研究概要 |
新規の光機能性を有する材料・システムの創製を目的に、光機能性を有する分子集合体の光幾能について研究を行い、以下の研究成果を得ることが出来た。 1.光機能性有機分子の集合構造を利用した新規光機能界面の構築 分子サイズや官能器の異なる自己集合性光機能有機薄膜の合成を行った。これら分子集合体が形成する立体構造・微細環境が、光反応特性に大きく影響することを見いだした。(J.Mater.Chem.2004,14,196,Bull.Chem.Soc.Jpn.in press) 2.無機層状化合物/ジアリールエテン誘導体(DA)複合体の光反応特性 フォトクロミック分子の一種であるDA誘導体と層状構造を有する無機化合である粘土鉱物との複合化を行った。構造の異なる複数のDAと、複数の粘土鉱物を比較検討することで、層間に於けるフォトクロミック特性を明らかにした。(Chem.Lett.,2004,1116,Mol.Cryst.Liq.Cryst.in press) 3.無機層状化合物(LDH)とポリジアセチレン誘導体(PDA)との複合化 PDAは、電気伝導性やサーモクロミック挙動を示す、興味深い光機能性分子である。PDAと無機層状化合物の複合化に初めて成功した。さらに、PDA/LDHは良好なサーモクロミック挙動を示し、複合体の微細構造との相関を明らかにした。(Chem.Lett.2004.1268,J.Phys.Chem.B.in press) 4.チタニアナノシート(TNS)による新規光機能界面の構築 TNSは層状構造を有する光触媒である。TNSの層構造を用いて、光機能性有機分子との複合化を行い、光誘起電子移動系の構築を行った。特に、TNS膜とメソポーラスシリカ膜とを複合化した膜の構築と、膜界面での良好な光誘起電子移動はこれまでに報告が無く、新たなブレークスルーとして期待される。(Chem.Mater.2005,17,206,Langmuir in press) 5.新規有機/無機複合体の構築と光機能特性 上記研究の他に、ローダミン色素/粘土複合体(Langmuir 2004,20,4715)、デンドリマー/LDH複合体(Progr.Colloid Polym.Sci.2004,128,113)、ポリエチレンテレフタレート/層状無機化合物複合体(Composite Interfaces 2004,11,307)など、様々な有機/無機複合体の構築に成功した。今後、これらの光機能特性や新規材料への応用展開が期待される。
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