生体や細胞を具体的な対象として光触媒の機能を最大限に引き出す応用やそのために特化した新しい高機能光触媒を開発し、光触媒の医学や医療への応用と実用化の手法を探ることを目的とする。 本年度は、疾患治療への応用のための検討を行った。 (1)TiO_2を付着させた金粒子を作成し、Heliumのガス圧を用いて動物細胞内に均一に強制導入できた。また導入後、光照射を行い抗腫瘍効果を確認した。 (2)上記の光触媒反応による腫瘍の変化として、腫瘍内の血管新生が抑制されていることを明らかにした。 (3)現在、光照射後の光触媒反応とその細胞への影響を特に細胞膜や細胞内情報伝達関連遺伝子タンパク質への効果を2-Dゲル法や質量分析法で解析している。 (4)TiO_2付着金粒子に制癌剤の1つのアドリアマイシンを附着させ、ラットの舌粘膜に同様の方法で導入した。導入後3日目に舌に腫瘍が出現したが、この腫瘍の出現はTiO_2導入後に光照射を行うと、抑制することができた。この実験により、光触媒による薬剤効果の光スイッチのモデルができた。 (5)光触媒の高機能化の観点より、薬剤担持能の高性能化とナノ粒子化を現在検討している。
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