研究課題
金属Tiターゲットを用いた反応性スパッタ法で成膜時の全圧、反応性ガス(酸素)分圧、基板温度等が異なる、幅広い成膜条件で酸化チタン薄膜を作製し、成膜条件とそれらの膜の構造と光触媒活性度の相関関係を明らかにした。このときに、スパッタ成膜における再現性を確保するために、質量分析計を設置し、到達真空度における残留ガスの分析、成膜中のガス組成の分析を行い、再現性の高い成膜プロセスを確立した。さらにカソードの磁場強度、磁場形状、基板へのRFバイアスの依存性を調べ、酸化チタン薄膜の成長機構に与える影響を明らかにできた。これらの研究成果によって、成膜速度は数nm/min程度と小さい値であるが、スパッタ法による高活性な酸化チタン光触媒薄膜の再現性の良い成膜方法が確立できた。また、これらの薄膜の結晶性や表面の仕事関数を詳細に解析し、光触媒活性度を支配している構造的な要因に関して考察を深めた。この光触媒活性度の高い薄膜のスパッタ成膜におけるキーポイントは薄膜成長表面への高エネルギー粒子の照射によるダメージを低減させることであり、成膜中の全圧を高くする、或いはカソードの磁場強度を増加させて低インピーダンスでのスパッタリングを行えばよいことが判明した。さらに、これらの独自の成果に基づいて反応性スパッタ法による酸化物薄膜の超高速度成膜に関してブレイクスルーを行うためにフラウンホーファ研究所(FEP、ドイツ連邦共和国)との共同研究を行い、プラズマ発光モニタリングによるデュアルカソード反応性スパッタ成膜法による光触媒薄膜の超高速成膜法(90nm/min)を達成した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Jpn.J.Appl.Phys Vol.43, No.12
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Proceedings for 5th International Conference on Coatings on Glass, ICCG
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