研究課題/領域番号 |
14050088
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝治 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80154540)
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研究分担者 |
木村 恵一 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50107140)
栗原 一嘉 (財)神奈川科学技術アカデミー, 研究員 (20270704)
山田 幸司 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (30348825)
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キーワード | SPRイメージング / 界面センシング / 化学センサー / 表面プラズモン共鳴 / マルチマイクロセンサーチップ |
研究概要 |
本年度は、二次元平面で観測するSPRイメージング装置を開発した。本装置を開発するポイントは、光学設計、機械設計、電子回路設計、コンピュータ・プログラミング技術、画像処理技術、マイクロ流路技術、センサチップ作製技術、化学修飾固定化技術など幅広い知識と技術を有機的に結び付け、一つにまとめ上げることである。また、光吸収による屈折率の虚部変化を利用した光吸収型SPRセンシング法を提案した。今年度開発したSPRイメージング装置の光学系は、680nm波長の発光ダイオードを光源として、クレッチマン光学配置を使い、コリメイトされた光でSPR現象のイメージング像を観測した。装置開発上の特徴は、G言語LabVIEWを使った新たな解析ソフトウエアー、CCDカメラ画像取込、ゴニオメータ制御、偏光子制御などから装置を統合的に制御することに成功した。これにより、入射角度を変えながら自動的に画像を連続取込するなどの高度な機能が実現できた。測定例として100x100マイクロメーター正方形が配列した金チップで水滴を観測した場合、正方形がやや縦方向につぶれ、長方形として観測された。これは入射及び出射角が70度を超えているためである。また、長方形の内部が一部明るくなった所があったが、これは空気の泡が金属表面に接触しているためである。空間分解能を評価するために、直径31nmのラテックス球を観測したところ、像が縦方向につぶれ、円が縦方向につぶれて楕円形になると予想したが、そのようにならず、丸形であった。この理由は、縦方向が表面プラズモン波の伝播する方向であり、伝播長だけ像が縦方向に伸びるため、円形として観測されたと考えられる。現状のSPRイメージング装置は、焦点がやや不十分なことや、偏光素子による像の劣化などの光学系に問題がある。今後、この光学系の問題を改善した高分解能のSPRイメージング装置を開発する。
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