研究概要 |
1.Pt/SrTiO_3:Rh-BiVO_4からなるZスキーム光触媒系の改良を試みた。まず,逆反応を起こしやすいPtに代わる助触媒の検討を行った。その結果,Ruを用いることで逆反応が抑えられ,長時間安定な活性が得られた。そして,ソーラーシミュレーターを用いた実験で,0.1リットル/h・m^2の速度で水素が発生した。このように,可視光応答性光触媒を用いた太陽光照射下での水の完全分解が確認できた。次に,電子伝達のためのメディエーターとして,Fe^<3+>/^<2+>の代わりになるものを探索した。その結果,Co(phen)_3^<3+/2+>が働くことを見いだした。 2.水素生成に高活性を示す硫化物固溶体光触媒(AgInS_2-CuInS_2-ZnS)の電極作成を行った。その結果,亜硫酸カリウム水溶液中で,可視光応答性の良いAgInS_2-ZnS硫化物固溶体光触媒電極の作成に成功した。この固溶体電極の応答性は,その組成により変化し,(AgIn)_<0.4>Zn_<1.2>S_2では,その吸収スペクトルに対応して,600nm付近までの可視光に応答した。 3.当研究室で見いだした可視光応答性光触媒のナノマテリアルの合成を試みた結果,BiVO_4ナノファイバーやBi_2MoO_6ナノプレートの合成に成功した。これらのナノ構造体の光物性や光触媒活性は,バルク体のものとは異なっていた。 4.新たな助触媒の開発を行った結果,酸化的な光電着によって担持されたIrO_2微粒子が,いくつかの光触媒を用いた水の完全分解に効果的な助触媒であることを見出した。この助触媒は,PtやNiOとは異なり,水素生成活性点として働く酸素生成側に効果的であることが特徴である。
|