研究概要 |
Zスキーム系光触媒の効率を改善するため,SrTiO_3:Rh水素生成光触媒の合成法を検討し,高活性化を行った。固相法,共沈法,錯体重合法,水熱法によりSrTiO_3:Rh水素生成光触媒を合成した。その結果,鉄イオンを電子伝達剤として用いた場合には,水熱法がもっとも高い活性を与えた。最適化した合成条件で得られた光触媒を用いて,Zスキーム系光触媒を構築した。疑似太陽光を用いた水の完全分解反応を行った結果,420nmで3%の量子収率が得られた。これは,可視光応答性の粉末光触媒を用いた水分解では,世界最高レベルの値である。このように,効率はまだ低いものの,粉末系光触媒を用いた水からのソーラー水素生成に成功した。また,新たな電子伝達剤としてCo(bpy)_3^<2+>を見い出した。この電子伝達剤の特徴としては,鉄イオンとは異なり幅広いpH範囲で用いることができることである。また,簡便な固相法で合成したSrTiO_3:Rhを用いても,比較的高い活性を与えた。この系において,2.1%の量子収率が得られた。また,200時間以上,ほぼ定常的に水の完全分解反応が進行することを確認した。一方,SrTiO_3:Rh光触媒を用いたZスキームの半反応である犠牲試薬を用いた水素生成反応の温度依存性について検討した。一般に,ドーピング系光触媒では,不純物準位に生成した正孔の移動度に問題があるが,反応温度を上げることにより,この不利な点をある程度改善できることがわかった。さらに,光触媒反応の素過程における温度の効果が明らかになってきた。これにより,Zスキーム系光触媒の高効率化の指針が得られた。
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