本研究では、現有のパルスYAGレーザに高周波バイアス電源や永久磁石等を併用したパルスレーザデポジション(PLD)装置を用いて、光触媒として有望であるTiO_2ナノクラスターを作製した。さらに、XPS、GXRD、SEM、AFMやPL法等を用いて、ナノクラスターの特性を調べた。また、作製したTiO_2ナノクラスター光触媒の水質改善効果を検討した。さらに、現有のマルチチャンネル分光分析装置でプラズマの発光分光分析を行いプラズマ温度や発光種を明らかにすることにより、ナノクラスターの特性とプロセスプラズマ特性の関係及び水質改善効果の関係を定量的に検討し、TiO_2ナノクラスター光触媒の最適作製プロセスを開発することを目的に研究を行った。その結果、以下のことがわかった。 1)現有のPLD装置を用いて、TiO_2ナノクラスター堆積条件を変化し、TiO_2ナノクラスターをSi基板やコーニングガラス基板上に作製できた。 2)作製したナノクラスターの特性をGXRD、FE-SEM、AFM、XPS、FT-IR分析装置やPL法により定量的に分析した結果、基板温度Tsを制御することによりアナターゼ型もしくはルチル型のTiO_2ナノクラスターを作製できることが明らかとなった。 3)酸素ガス圧力によりTiと0の組成比は変化し・酸素ガス圧力P_<02>=10Pa以上で化学量論的組成のTiO_2ナノクラスターが得られることが分かった。 4)作製したアナターゼ型TiO_2ナノクラスターを水処理装置に使用し、水質改善効果を定量的に検討し、水質改善効果があることを確認した。 5)可視光応答型の窒素ドープTiO_2ナノクラスター作製に成功し、ナノクラスター特性と水質改善効果の関係を検討した。 上記の結果をIPS14やASIPS等の国際会議や応用物理学会全国大会等で発表した。
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