光触媒を利用した多くの外装仕上材料の開発が進められ、また市販されてきているが、現在のところその効果については、まだ広く一般に認識されていない状況にあるといえる。その要因のひとつとしては、現在の防汚性に対する評価は、各製造所での限られたデータによるところが大きく、標準的な評価方法が十分に普及していないことや公表された統一的な研究成果が数少ないことにあるといえる。 本研究において塗装および磁器質タイルを主とした種々の外装仕上材料に対し、同一条件にて共通的に屋外暴露試験を実施した結果、光触媒の防汚性評価に関し、約1.5年間の暴露試験の範囲において次の知見を得た。 1)光触媒による防汚性の効果は、一般の屋外環境だけでなく、高速道路のような汚染状況の著しい環境下においても、無処理の材料との比較においてその効果が認められている。 2)光触媒は紫外線を吸収することにより、反応が生じるものであり、紫外線強度によってその防汚効果の有効性が懸念されるが、屋外の環境下においては、直射日光の当たらない北面暴露においても南面暴露と同等な防汚効果が認められている。 3)光触媒処理を行った外壁仕上材料は、無処理のものに比して防汚性の効果を有しているが、同じ酸化チタンを使用した光触媒にあっても製造所の仕様による差異が認められる。 4)試験体に発生した雨筋汚染の評価を行うにあたっては、作製した雨筋評価見本帳による目視評価は有効であるが、雨筋汚れが試験体全面に広がっている状況においては、雨筋汚れではなく全体の汚れで評価を行う方が有効的である。
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