研究課題
外場によりフォトニックバンドギャップ、電導性を自由にスイッチさせることのできる新しい物質を開発することを目指して研究を行った。特に、液晶を複合したフォトニック結晶(逆オパール)の表面処理による光学特性の制御とプルシアンブルー類似物質の電場応答性について検討した。光応答性オパール:逆オパール構造膜の空隙に液晶とアゾベンゼンを充填し光を照射すると、液晶の光相転移によってストップバンドが変化する。しかし、光照射前の状態では、液晶の複屈折のために2つのピークが観測される。そこで、今回は、表面処理により液晶の配向を制御しストップバンドの波長を制御する実験を行った。水平配向の処理をおこなった試料の反射スペクトルを測定したところ、液晶分子に平行な偏光が入射するように偏光板を設置した場合、640nmのピークのみが現れ、600nmのピークは現れないことがわかった。すなわち、長波長側のストップバンドのみを選択的に取り出すことができたといえる。この状態で紫外光を照射し、トランス-シス異性化を誘起すると、液晶相から等方相への相転移が起きストップバンドが610nm付近に現れた。また、この変化は温度によって元にもどすことができた。すなわち、ストップバンドの波長を640nmと610nmの間で可逆に制御できることが分かった。電場応答性金属錯体:Fe-Coプルシアンブルーの電場応答性について検討し、この物質が非線形な電場応答性を示すことを見出した。電流-電圧測定は、サンプルをペレット状に圧縮し、二端子電極により測定を行った。また保護抵抗として800KΩの抵抗を直列につないだ。電圧を50Vに設定し、抵抗の温度変化を測定したところ、温度の低下とともに抵抗が増大する典型的な半導体的な挙動を示した。一方、高い電圧下では、伝導性のスイッチング挙動が観測された。すなわち、OVから徐々に印加電圧を上げていくと、ある閾電圧で急激に電流が増加し、低抵抗状態へと変化した。
すべて 2004
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