地球上における高圧力な環境、たとえば深海は、光のない暗黒の世界である。したがって光化学反応を検討するとき、圧力というファクターは通常は無視される。本研究は、光化学反応のような表面反応では、物質の拡散や、表面との分子間距離が大きく影響を与えることから、高圧力状態での酸化チタン光触媒膜などによる水の電気分解がどのような挙動になるのかに興味を持ち、それを検討・実証することを研究の目的とした。また、気泡発生が大気圧環境での光エネルギー変換効率を悪化させていることから気泡発生のない環境が光エネルギー変換にどの程度貢献するのかを検討した。本研究は、深海と同じような高圧力環境における光エネルギー変換の特性を検討した。 高圧力環境下での光化学反応の応答特性ならびに光エネルギー変換を評価するために、窓つき高圧容器を用い、2MPa(海上で光が届かなくなる水深200m近傍の圧力)付近での光化学反応を検討した。その結果気泡発生の無い光化学反応が観察された。小型高圧力電気化学測定セルを用い、水の電解を行った結果、気泡発生の無い電解を直接観察した。また、Pt電極を用いた場合、高圧力下(50MPa)において、電極表面の水素の吸着挙動が変化するのを確認した。
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