研究分担者 |
藤森 淳 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10209108)
瀧田 宏樹 筑波大学, 物質工学系, 教授 (00011213)
松本 裕司 東京工業大学, フロンティア創造研究センター, 講師 (60302981)
吉野 淳二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90158486)
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研究概要 |
量子ドットと電子波干渉計を組み合わせた系において,量子ドットに局在したスピンと伝導電子スピンとの間の相互作用によって生じる近藤効果を調べた.局在状態と広がった状態との干渉によって生じるFano効果を観測し,更に,Fano効果が生じている状態での近藤効果の発生によって現れるFano近藤効果の観測に,半導体量子ドット系では初めて成功した.測定結果の解析から,SU(2)近藤効果に特徴的である位相シフトのπ/2へのロックを,初めて確認することができた. 磁性を示す半導体である,(Zn,Co)O,(Ti,Co)O_2について,遷移金属イオンの電子状態を内殻X線吸収の磁気円二色性(XMCD)により調べ,Zn,Tiを置換したCo^<2+>イオンが強磁性を担っていることを確認した.これにより,これまで本来の意味での希薄磁性であるかどうか疑問視されてきたこれら2種類の物質について,紛れもなく希薄磁性半導体であることが確立された. 室温で強磁性を示すとされる(Zn,Cr)Teについて,窒素をドーパントとするp型のドーピング実験を行い,通常の希薄磁性半導体と逆に,ドーピングによって強磁性発現が抑えられることを見出した.これは,「キャリアによる強磁性の抑制」という新しい制御性につながる結果である.これらの結果を,二重交換相互作用による強磁性発現モデルに基づいて考察した. 室温強磁性を示すCo添加二酸化チタンを用いて電界効果デバイスの試作を行った.トランジスタ動作を確認し,移動度の結晶方位依存性が,理論から予測されるものと良く一致することを見出した. GaMnAsなどGaAsを基板として用いる低温成長において重要となるGaAs(001)c(4X4)再構成表面のSTM観測およびLEED IV解析を行い,少なくとも2種類の構造が存在することを明らかにした.
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