研究概要 |
1.強磁性スピン系の光操作と光磁化およびその応用(宗片) キャリア誘起強磁性の物性と制御について、(1)(Ga, Mn)Asに2種類の磁気異方性が共存し、その相対的な大きさがキャリア濃度で変化することを実験的に明確化すること、(2)横磁場を印加した強磁性(Ga, Mn)Asを光パルスで励起すると強磁性に結合したMnスピンが才差運動を行なうことを世界に先がけで見出した。さらに、(3)強磁性(Ga, Mn)As/AlAs/(Ga, Mn)Asトンネル磁気抵抗素子でスピン電流磁化反転が部分的に起こることを見出した。加えて、非磁性半導体ヘテロ構造p-(In, Ga)As/n-(Al, Ga)Asにおいて円偏光度に依存した光起電力を実験的に観測し、理論的に指摘されていたスピン光起電力を世界に先駆けて実証するとともに、円偏光を直接電気信号に変換するスピンフォトダイオードに道を開いた。 2.スピン生成と緩和の光制御と応用(竹内) 波長1.55μmに対応するInGaAs/InP量子井戸のスピン緩和時間の温度依存性を測定し、低音息でのスピン緩和メカニズムを明らかにした。具体的には、30K以下ではBir-Aronov-Pikus効果が、30Kを越える領域ではD'yakonov-Perel効果とElliott-Yafet効果が関与していると結論した。また、ワイドギャップ半導体であるバルクGaNのスピン緩和時間の測定に成功した。 3.近接場光学技術によるナノ光スピントロニクス(斎木) 近接場磁気光学顕微鏡(NSOM)による偏光検出の高感度化に努めており、信号変調と光干渉による微弱信号の増強方法の開発を行なっている。光出射テーパ部での反射戻り光を参照光として試料からの信号光と干渉させ、また、プローブ先端部を機械的に振動させることで、信号光のみを選択的に大きく変調させてS/N比を大きく改善できることがわかった。書き込みサイズ05ミクロン程度の記録マークを再現性良く画像化できるレベルに到達した。
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