研究課題/領域番号 |
14076105
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
白井 正文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70221306)
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研究分担者 |
江藤 幹雄 慶応義塾大学, 理工学部, 講師 (00221812)
今村 裕志 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30323091)
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キーワード | スピントロニクス / デバイスデザイン / 高スピン偏極強磁性体 / 透明強磁性半導体 / スピントランジスタ / 半導体人工分子 / 量子ドット / エンタングルメント |
研究概要 |
この調整班では、量子力学に基づいた理論解析と大規模数値計算により、半導体と磁性体を融合したナノ構造中の電子スピンのふるまいを解明し、新しい半導体スピントロニクスデバイスを理論的に設計するという研究項目としての目標達成を支援するために、各計画研究の進捗状況に関する情報交換、当該研究分野の研究動向調査、ならびに共同研究の促進を目的としている。 各計画研究により得られた研究実績は以下のとおりである。 1.光-スピントロニクスデバイス及びナノスピンプローブのデザイン 本年度は上記デバイスの実現に不可欠な高スピン偏極強磁性材料ならびに透明強磁性材料を、電子状態の第一原理計算に基づいて系統的に探索し、いくつかの新しいスピン機能材料をデザインすることに成功した。次年度は、これら新材料と半導体とのヘテロナノ構造の第一原理計算に基づいて、高度なスピン機能を発現する新規デバイス構造のデザインを実施する計画である。 2.電子-スピントロニクスデバイスのデザイン スピントランジスタと量子ドットで構成される半導体人工分子のスピン状態を理論的に調べ、スピントランジスタに印加するゲート電圧で人工分子のスピン状態を制御できることを示した。量子ドット間をトンネルする電子のスピンを、スピントランジスタを用いて180°だけ回転させることにより、反強磁性的なスピン状態を強磁性的なスピン状態に変換することができる。 3.電子スピンの電界・磁界操作による量子情報デバイスのデザイン (1)シリコン量子ドット中において、伝導バンドの多谷構造のために高スピン状態が容易に現れる傾向があること、(2)量子ドットを埋め込んだABリングにおいて、高次の干渉効果ならびにファノ共鳴が生じること、(3)電子がスピン反転を伴って流れる系において、超微細相互作用が核スピンのエンタングルメントを誘起し、同時に電子スピンの緩和を著しく増大させること、(4)強磁性金属の点接触において、バンド間散乱が電気伝導を抑制することを明らかにした。
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