研究概要 |
III-V族希薄磁性半導体の成長の制御の観点から興味がもたれるGaAsやGaMnAsの低温成長時に観測される反射電子線回折(RHEED)の強度振動の起源を理解することを目的として,RHEED強度のロッキングカーブ(入射角度依存性)の時間発展を動力学的手法を用いて解析した.その結果,RHEED振動が回復する380℃近傍の成長では,成長の極めて初期に激しいラフニング起こっていること,さらに低温の成長では,成長初期のラフニングが抑制され,その結果,RHEED振動が回復することを示唆する結果が得られ,400℃近傍でのRHEED振動の完全な消失は,成長初期の激しいラフニングに起因していることを明らかにした. BEEM/BEESによるスピン依存電気伝導の局所観測のための予備研究として,GaAs上に作製した薄いFeショットキー接合について,非磁性のW探針を用いたBEEM/BEES測定を行った.その結果,BEEM電流のFe膜厚依存性からFe薄膜中での弾道電子の減衰長は,1.09-1.61eVのエネルギー領域で1.52-2.74nmという従来の報告の0.5nmという値と比較してかなり長い値を得た. Si基盤上へのFeSi系ナノドットの形成を目的として,Si(111)√<3>×√<3>Agを出発表面として用いることによりSi基盤表面をパッシベーションし,Feとの反応抑制をする方法を検討した.その結果,適当な成長温度を選択することにより,Fe原子の表面マイグレーションを促進することによりFe_3Si程度の組成を有する,室温で強磁性を示すFeSiナノドットをSi表面上に作製することに成功した.さらに,Siの(111)微傾斜基盤を用いてステップがほぼ等間隔に配列させることにより,FeSiナノドットをステップ端に配列させることに成功した.
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