本研究では、分子のダイナミクス観測等に必要とされるレーザー励起の高輝度短パルス放射線源の開発を通じ、相対論的光電磁場(すなわち超強光子揚)とクラスターの相互作用の解明を目的とする。具体的には、相対論的光電磁場発生に必要な10TW級レーザー開発を行い、これをクラスタージェットに照射してMeVの電子線やガンマ線、陽子線発生を観測する。また放射線発生効率を上げる方法を実験的に検討する。 本年度では、光パラメトリック過程を用いたチャープパルス増幅すなわちOPCPAを前置増幅器とする10TW、OPCPA/Ti : sapphireハイブリッドレーザーシステムを完成し、これを用いたガスジェットターゲットによる高エネルギー荷電粒子発生の研究を行った。また高エネルギー電子加速として阪大激光PWレーザーを利用した実験を行った。以下に1)OPCPA/Tisapphireハイブリッドレーザーシステムの開発、2)激光PWレーザーを用いた電子加速実験に関して記す。 1)10TWのOPCPA/Ti : sapphireハイブリッドレーザーシステムを開発した。これにより、これまで相互作用研究において問題となっていたプレパルスを抑えることが可能となった。またOPAにおいて問題となる増幅された光パラメトリック蛍光(AOPF)を波長の異なる第3のパルスをQuencherとして用いることで、実験に使用可能なレベルに引き下げることができた。 2)上記レーザーシステムのほかに、激光PWレーザーを用いてガスジェットターゲットを照射し、最大120MeVの高速電子発生を観測した。
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