研究課題/領域番号 |
14077210
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 正和 名古屋大学, 物質化学国際研究センター, 助手 (10283459)
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研究分担者 |
岡崎 進 岡崎国立共同研究機構, 情報科学研究センター, 教授 (70194339)
斉藤 真司 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70262847)
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キーワード | 水 / 水素結合 / ネットワーク / 均一核生成 / 結晶成長 / アモルファス / 第二臨界点 / 氷 |
研究概要 |
核生成が起こる前の過冷却水では、水素結合の寿命の分布は数ps〜数nsときわめて広くなっており、構造変化が空間的時間的に不均質に起こる。われわれはこの原因が、水素結合ネットワークの局所構造の違いにあると考え、局所ネットワークトポロジーを比較分類する新しい手法を開発した。この手法を用い、過冷却水の水素結合ネットワークを、水十数分子からなる部分ネットワーク(フラグメント)に細分し、これらの部分ネットワーク構造の出現頻度を、核生成以前、核生成初期、結晶成長期などのさまざまな時期、あるいはさまざまな熱力学条件下で比較することにより、核生成初期に現れる非晶質的構造や、結晶成長前後でのネットワーク構造変化を詳細に調べた。 その結果、核生成初期に特異的に増加するフラグメントが存在すること、そのフラグメントは既知の氷晶構造のいずれとも異なるトポロジーを持ち、長距離秩序を形成しえないこと、このフラグメントに属する水分子の結合エネルギーは、平均的に比べて3kJ/mol程度安定であることがわかった。そのようなフラグメントは核生成以前にも液体のいろんな場所に生成消滅しているが、核生成初期に、ある場所に凝集して長寿命な水素結合からなる「固い」領域を作り上げ、それを足場として内部に結晶構造が生成されることがわかった。
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