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2005 年度 実績報告書

パルス伝播効果とレーザー誘起コヒーレンスを取り入れた量子制御理論の構築

研究課題

研究課題/領域番号 14077211
研究機関京都大学

研究代表者

中嶋 隆  京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (50281639)

キーワード数サイクルパルス / 絶対位相 / トンネルイオン化 / 多光子イオン化
研究概要

超短パルスレーザーの技術が進展するにつれ,最近では〜5fsのパルスを発生させることが可能となってきた。可視波長域における〜5fs程度のパルスはわずか数サイクルしかレーザー電場を含まないため「数サイクルパルス」と呼ばれる。光強度が高い領域においては,たとえば高次高調波や超閾イオン化などの物理現象に絶対位相依存性のあることが見出されており,定性的にはトンネルイオン化描像によって明快に説明することができる。しかし,光強度の低い,いわゆる多光子イオン化領域において絶対位相効果が見られるかどうかはトンネルイオン化の描像からはもちろん予測できない。単純に時間非依存の摂動論的な多光子イオン化の遷移行列要素の式を思い浮かべると,位相依存性はないのではないかという結論に至る。更に,束縛状態の占有確率についても,トンネルイオン化描像は何も説明しない。しかしながら,もしもレーザー発振器レベルのパルスエネルギーで実現可能な光強度で何らかの物理量に絶対位相効果が見つかれば,実験的には非常にインパクトが大きい。なぜなら,レーザー発振器に関しては位相が安定化された数サイクルパルスレーザーは既に市販化もされていることからもわかるように,増幅パルスの位相安定化に比べ,技術的にははるかに容易であり,何らかの物理現象の位相依存性を通じて位相を知ることができれば位相安定パルスの位相制御にも役立つからである。
我々は,時間依存シュレーディンガー方程式を数値的に解くことにより,多光子イオン化領域においてもサイクル数が極めて少ない(<2サイクル)パルスについて顕著な位相依存性が観測されうることを見出した。また,その物理的起源についてはトンネルイオン化とはメカニズムが全く異なることも発見した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Phase-dependent excitation and ionization in the multiphoton ionization regime2006

    • 著者名/発表者名
      T.Nakajima, S.Watanabe
    • 雑誌名

      Optics Letters (in press)

  • [雑誌論文] Phase-sensitive atom localization in a loop Λ-system2006

    • 著者名/発表者名
      Chengpu Liu, Shangqing Gong, T.Nakajima, Zhizhan Xu
    • 雑誌名

      Journal of Modern Optics (in press)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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