研究概要 |
分子の基底状態および電子的励起状態について高速計算を行うための量子化学計算ソフトウエアGAMESSの並列化の開発成果をいくつかの学会にて発表した.また,このソフトウエアを用いてレーザ制御の研究に必要とされる分子のポテンシャルエネルギー曲面の計算を行った.業績リストに示すように,dynamicsの研究グループと共同研究を行い,helical chiralityをレーザ制御する場合とaxial chiralityを有する分子モータモデル,そして強レーザ場における二酸化炭素のイオン化解離反応について論文として発表することができた.後者の二酸化炭素については,さらに研究を進め,より詳細な解析を実行し論文報告の準備をしている. なお,近年の計算機の低価格化に伴い,本年度はSpecfp2000が700以上のCPUを有する最新型の計算機を3台導入することができ,上記計算をスムーズに行うことができた.現在は,dynamicsの研究グループとエタノールの強レーザ場における解離反応に研究を行うとともに,強レーザ場における電子状態(時間依存)の計算手法について検討中である.加えて,分子モータの制御を目的として,モデル分子であるbinaphthyl分子の分子内回転ポテンシャルエネルギー面の構築も試みている.binaphthylは鏡映体を有し,分子内回転の途中で2つの鏡映体を経由する複数の回転経路が存在し,さらに複数の分子振動が関与するため,分子内回転の経路を特定するが難しい.現在はこの困難さを克服すべく検討中である.
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