研究課題/領域番号 |
14077221
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸本 泰明 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10344441)
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研究分担者 |
J Koga 日本原子力研究所関西研究所, 光量子科学センター, 副主任研究員 (70370393)
森林 健悟 日本原子力研究所関西研究所, 光量子科学センター, 副主任研究員 (70354975)
内海 隆行 日本原子力研究所関西研究所, 光量子科学センター, 参事 (50360433)
福田 祐二 日本原子力研究所関西研究所, 光量子科学センター, 博士研究員 (30311327)
加藤 進 産業技術研究所, 電子エネルギー研究部門, 主任研究員 (20356786)
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キーワード | 極端パルス高強度レーザー / 非線形光学・非線形相互作用 / 非線形光学・非線形相互作用 / 電子衝突緩和 / クラスター媒質 / クーロン爆発 / 放電・雷過程 / 分岐・フラクタル構造 |
研究概要 |
本研究は、マクロないしセミマクロな集団運動の解析に適したプラズマ手法を基礎に、これにミクロな原子・緩和過程を取り入れることにより、レーザー場を含む様々な波長領域の光子場と、中性原子や様々の価数のイオン、電子が共存した気相や固相、クラスター相との複雑な非線形相互作用の素過程の理解することを目的とする。また、このような原子・緩和過程を含む複雑な物理過程を高い精度で模擬・検証することが可能なシミュレーションコード(EPIC3D)の開発を行い、高強度レーザーと物質との相互作用を利用した応用研究を展開する。 本年度は、EPIC3Dに用いて、アルゴンクラスターと高強度レーザーとの相互作用シミュレーションを実施し、アルゴンクラスターの電離過程とそれに伴うクラスター爆発の素過程を明らかにした。特に、クラスター表面で生成される高強度の分極電場によるイオン化、および、表面で加速された高エネルギー電子の再衝突によるクラスター中心での電子衝突によるイオン化によって高価数イオンの二重構造形成されることを示した。また、これに伴って電場においても内部および外部シースが形成される過程を明らかにし、複雑な電離過程を伴うクラスター爆発のダイナミックスの理解を進展させた。 また、高強度レーザーと固体炭素薄膜との相互作用シミュレーションを行い、高強度レーザーに照射られた物質中での電離過程とエネルギー輸送を含めたプラズマ生成の詳細を明らかにした。特に、固体の表面近傍での相互作用の結果生成された高エネルギー電子の伝播によるプラズマ波のCherenkov放射とその乱流状態への発展が電離過程に深く関与していることを見出した。このプラズマ波乱流駆動の電場によるイオン化は雪崩的な特性を持ち、光速と同じオーダの速い時間スケールで個体中を"電離波"として多段的に伝播すること、また、乱流場と粒子と相互作用を通して電子加熱と熱伝導が誘起されること等を明らかにした。これらは、プラズマの集団運動と原子過程がリンクしたものであり、プラズマ物理の観点からも新しいパラダイムを提案するものである。
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