研究課題
本研究では、チタンサファイアレーザーを希ガス等に集光して得えられる、高次の高調波をもちいて真空紫外域から軟X線領域において10^<13>W/cm^2以上の強光子場を発生し、「強光子場中での分子のダイナミクスとその制御に関する研究」に利用することを目的としている。本年度は、既存の装置での実験結果に基づき、励起レーザー光の非線形伝搬特性を考慮した高調波発生の最適化のためのシミュレーションコードを作成し、高次高調波の高出力化のために必要とされる励起光の集光照射装置の設計および製作を行った。このコードに基づく計算結果から、μJレベルの高エネルギーの高調波パルスを発生させるためには、30フェムト秒、100mJのチタンサファイアレーザーパルスを約2x10^<14>W/cm^2でArガス中に集光照射すれば良いことが予測された。これらのモデル計算による結果に基づき、必要な励起強度と相互作用長を達成するための励起レーザー光の集光照射光学系を設計した。このとき、入射窓や集光レンズおよび大気中での高強度レーザー光の伝搬による非線形効果の影響を回避するためには、反射光学系を用いた5m程度の長さの真空ビーム導入ポートを設置しなければならない。また、集光鏡による非点収差を回避するためには、可変形状鏡の導入が不可欠であることが明らかになった。以上のような設計指針のもとに、フェムト秒の高エネルギーチタンサファイアレーザー光を反射光学系のみで集光照射可能な真空型ビーム導入装置を開発した。
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