研究概要 |
本研究では、ジボロンなどをホウ素源として利用する有機ホウ素化合物の合成法について調査するとともに、有機ボロン酸が水、酸素に安定であることを利用して、水を中心とした反応場における触媒的炭素結合形成反応の開発を目的とした。 (1)ジボロンを用いた有機ホウ素化合物の合成法の開発 ・芳香族C-H結合の触媒的直接ホウ素化反応 アリールボロン酸の合成はグリニヤール試薬とホウ酸エステルの反応が一般的である。原子効率を含めた反応の効率を追求すると芳香族C-H結合の直接ホウ素化が最も効率的な変換法となる。最近、Ir-bipyridine錯体が高い活性を示すことを見いだした。含ヘテロ芳香族化合物の直接ホウ素化に成功した。また、ジボロン以外のホウ素源としてピナコールボランも利用可能であることを見いだした。 (2)新規不斉配位子の開発 ロジウム錯体を用いる有機ボロン酸の共役付加反応において、すでに水/アルコール系中でα,β-不飽和ケトン、エステルにおいてRh/BINAP配位子が90%ee以上のエナンチオ選択性を与えることを見いだしているが、さらなる一般性の向上、カチオン性パラジウム錯体における不斉共役付加反応を達成するため、ホスホアミダイト系配位子を開発した。非対称アミダイト配位子、二座ホスホアミダイト配位子に効果があり、二座ホスホアミダイト配位子では、触媒活性が向上すると共に、基質適用範囲が拡大した。
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