研究概要 |
1.M(μ-EH)_2M(E=S, Se)骨格をもつ新規なイリジウム、ロジウム、およびルテニウム二核錯体の合成に成功し、これらがカルコゲニドクラスター合成のための良好な前駆体であることを明らかにした。すなわち、縮合反応によりキュバン型四核クラスターを与え、また他の金属種を取り込むことで三核から七核にわたる多様な同種または異金属クラスターへと誘導できた。一方、新規なキュバン型スルフィドクラスター骨格構築の前駆体として、イリジウムのスルフィド-ヒドロスルフィドクラスター[(Cp*Ir)(μ_3-S)(μ_2-SH)_3]Clの合成にも成功し、様々なIr_3MS_4キュバン型骨格を誘導できることも示した。 2.MS(μ-S)_2MS骨格をもつモリブデン、タングステン、およびレニウムの二核錯体を前駆体として用いても、多様な混合金属不完全キュバン型およびキュバン型スルフィドクラスターが得られることを明らかにした。 3.新規に合成したキュバン型Mo_2M_2S_4(M=Ir, Rh)オキソクラスターは、プロトン源と還元剤存在下でヒドラジンのN-N結合を切断するニトロゲナーゼモデル反応を触媒することを見出し、中間体に相当するヒドラジドクラスターの単離同定にも成功した。 4.スルフィド-チオラート架橋Ir_3,Ir_2Ru三核クラスターの合成と各種小分子との反応性の検討を行い、前者はアセチレンの立体選択的環化三量化反応を触媒することを見出した。
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