研究課題
本特定研究の最終年度となる平成17年度は、クラスター反応場への電子的異方性の導入を目指して、主として異種金属ポリヒドリドクラスターの合成とその反応性の解明に取り組んだ。まず、8族金属同士を組み合わせ、ルテニウムとオスミウムからなる二核のテトラヒドリド錯体の合成を達成した。X線構造解析で分子構造を明らかにするとともにエチレンとの反応を検討し、ルテニウムが配位サイトとして作用しオスミウム上でC-H結合切断が起こることを明らかにした。次いでルテニウムとイリジウムからなる二核トリヒドリド錯体とトリフェニルホスフィンとの反応ではP-C結合の切断が起こり、選択的に架橋ホスフィド錯体が生成することを見出すとともに、溶液中における動的過程を温度可変NMR手法を用いて解析し、オルトメタル化を経由する機構で動的過程が起こることを明らかにした。さらに、ルテニウムとモリブデン、ルテニウムとタングステンで構成される異種金属三核ポリヒドリド錯体の合成を世界に先駆けて達成した。これらの8族-6族異種金属クラスターの分子構造を明らかにすると同時に、ヒドリド配位子のサイト交換とそれに連動するクラスター骨格の歪みをともなう運動が溶液中で起こっていることを明らかにした。また、三核ルテニウムクラスターの骨格中に、酸素、三級ホスフィン、一酸化炭素などのヘテロ原子あるいはヘテロ原子基を三重架橋配位子として導入する手法を開発した。
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