研究課題
特定領域研究
本研究では、縮合反応を進行させることが一般的に困難である水中においてアミノ酸の重縮合を効率よく進行させるために、環境に与える負荷が少なく、調製が簡便でリサイクル可能なナノサイズ重合反応場の開拓に取り組んだ。具体的には、これまで反応場としては注目されていなかった多核錯イオンや金属ナノ粒子をテンプレートとしたアミノ酸の重縮合、ルイス酸によるアミノ酸重縮合に及ぼす効果とともに金属ナノ粒子を基盤とした新たなナノサイズ反応場の開拓を目指した研究を行った。以下に結果の概要を示す。1.鉄コロイドを用いた水中でのL-フェニルアラニンの重縮合塩化鉄(III)水溶液にアルカリを加えていくと、オール化やオキソ化を伴って鉄(III)コロイドが得られる。これをナノサイズ反応場として、L-フェニルアラニン(Phe)の重縮合の検討を行いPheの鉄コロイドへの吸着が縮合反応の促進に重要な役割を果たしていることを示した。2.金ナノ粒子を用いた水中でのL-システインの重縮合チオール基を有するアミノ酸であるL-システインを金ナノ粒子の保護剤として金ナノ粒子を調製した後、金ナノ粒子をナノサイズ反応場としてL-システインの重縮合を行った。金ナノ粒子は酸化剤により金イオンに戻すことが可能でありリサイクル可能なナノサイズ重合反応場であることを示した。3.ルイス酸存在下における活性エステル化アミノ酸の重縮合溶液中での重合制御可能なアミノ酸の新規重縮合法の開発を目的に、活性エステル化バリンの重縮合に及ぼすルイス酸の影響について検討を行った。
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