研究課題
有機化学反応において最も基本的な反応であるSN2反応の遷移状態モデルを立体的に堅固な骨格を新規に合成して安定化する試みを行ってきた。アントラセン骨格を有する酸素配位原子系で、目的の5配位超原子価炭素化合物の合成とそのX線解析に成功し、さらにvan Koten系でも酸素配位原子系で5配位超原子価炭素化合物の合成とそのX線解析に成功した。それらの化合物のX線構造解析などの実験及び理論計算により、中心元素とアピカル方向にある二つの酸素配位子の間には相互作用があることを証明してきた。これらの化合物の電子密度解析では中心原子と二つの酸素原子間にbond pathの存在を見いだすことができたが、比較的相互作用の強いアントラセン系においてもbond critical pointにおける電子密度ρ(r)は0.18(3)、0.20(3)eÅ^<-3>と小さく、その相互作用は小さいことがわかった。そこで我々は、両側の配位原子と中心原子が立体的に近づくことで、より中心元素と両側の配位子の相互作用が強くなることを期待し、7員環を2つ縮環した3座配位子の合成を行った。この新規7員環硫黄配位原子系の合成に成功したが、このルートは、flexibilityが高く、配位子系の骨格の置換基などを変換しやすいので、配位子系に対してもさまざまな誘導体を合成して、5配位超原子価炭素化合物の合成とその構造解析を行うことができた。その結果、硫黄を配位子とする初めての超原子価化合物の合成と単離に成功したが、中心炭素原子上の置換基が電子求引基だと5配位でなく4配位になりやすいなど、新たな知見を得ることができた。
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