研究課題/領域番号 |
14079206
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
深沢 泰司 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60272457)
|
研究分担者 |
吉田 勝一 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50304390)
草野 完也 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (70183796)
大杉 節 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30033898)
|
キーワード | ブラックホール / ガンマ線天文学 / 宇宙物理 / 宇宙科学 / 国際協力 |
研究概要 |
ハードウエアー開発においては、GLASTの最も重要な構成要素であるシリコンストリップ(SSD)の開発・製造・性能検査および供給を行った。2002年度末までには半分近くのセンサーが出来上がり、順調に進んでいる。リーク電流は2.5nA/cm2とほぼそろって低い値を示し、全空乏化電圧も50-100Vと運用上問題ない範囲が得られている。そして、初期不良のストリップの割合は180万本に対して僅か0.008%という非常に優れた結果を出しており、我々の設計が非常に優れていることが証明された。これらの性能はGLASTの目標性能を達するに十分である。 良い感度を実現するためには、宇宙線バックグラウンドの理解が必須である。この構築については本年度は、2001年の気球実験のデータの解析を進めることにより、宇宙線の到来方向依存に関する情報を引き出しつつある。現在は、これらの情報と最新の観測結果を採り入れながら、地磁気依存性を加えつつある。 良い感度を引き出すために必要なものとして、検出器レスポンスの理解がある。特にGLASTのようなサーベイ観測では、時々刻々と天体に関するレスポンスが変化していき、しかも検出器レスポンス自体が複雑であるので、検出器シミュレーターを使うことが必須である。我々は2000年から、Geant4を使って開発を進めてきており、最初は気球実験のジオメトリ構造を再現して、気球実験のデータ解析に用いている。本年度からはフライトモデルのジオメトリ構造を組み入れた。また、同じようなことは前ガンマ線観測衛星EGRETについても言えるのであるが、EGRETの場合は検出器シミュレーターがあまり使われずに解析が行われていたので、我々はGeant4によりEGRETの検出器シミュレーターを構築し、EGRETのデータを解析してみる試みを始めた。これは、検出器シミュレータによるGLASTデータの解析の感触や問題点を予め知っておくためにとても有効であると考える。これらのため、EGRETの全天カタログの天体をシミュレーションできるようなプログラムも開発した。さらに、GLASTとEGRETの検出器シミュレーターと、天体およびバックグラウンドモデルを連携して動かすためのソフトウエアーの枠組みをPython言語で構築し、複雑な観測をシミュレートしながらGLASTとEGRETの比較を用意に行えるようなシステムをSLACと共同で作り始めた。
|