研究課題/領域番号 |
14079206
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
深沢 泰司 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60272457)
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研究分担者 |
大杉 節 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (30033898)
川端 弘治 広島大学, 宇宙科学センター, 助手 (60372702)
水野 恒文 広島大学, 大学院理学研究科, 助手 (20403579)
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キーワード | ブラックホール / ガンマ線天文学 / 宇宙物理 / 宇宙科学 / 国際協力 |
研究概要 |
昨年度までに製造完了したシリコンストリップセンサー(SSD)を用いて、イタリアでGLASTのガンマ線到来方向検出器トラッカーが組み立てられ、2005年秋に完成した。そのトラッカーがSLAC(スタンフォード線形加速器センター)に送られ、そこで性能確認試験などが行われた。我々も参加し、特にガンマ線イベントと粒子イベントの選別を行う時の情報となるTOT(Time Over Threshold)信号について、threshold電圧、回路ゲイン、テスト電荷の絶対値の測定、および、長期モニターを行い、特に問題ないことがわかった。 打ち上げの後の解析では、バックグラウンドの除去の重要性が高まりつつある。我々は、これまでの経験を生かして、GLASTの軌道上でのバックグラウンドの影響をより詳細に見積もる作業を進めている。こうして作られた宇宙線バックグラウンドモデルを用い、さらにEGRETのデータから予想した50日間のGLASTの観測シミュレーションデータがGLASTチームに公開され(DC2)、解析ソフトの開発、観測戦略の模索、および、バックグラウンドの除去のスタディーが進められている。これに対応して、我々が参加している日本のX線観測衛星「すざく」の粒子バックグラウンドデータの解析を始めた。地球上空での粒子分布、時間変動などを調べ、GLASTに応用する。 また、GLASTのデータ解析では特に複雑な応答関数を考慮した大規模解析が必要であり、そのためには強力なCPUパワーと大容量ディスクが必要である。そこで、本年度は別の予算により、PCクラスターをハードウエアー的にインストールした。現在、これを用いて、約半数のCPUを動かして実際にX線衛星「すざく」のバックグラウンドモニターの大規模解析を行っており、ハードウエアーとしての動作確認を行った。今後は、ソフトウエアーの整備を行う。 GLASTの打ち上げに備えて、本年度は日本の研究者を集めた初めてのGLASTサイエンス研究会を開催した。開催は、東工大とJAXAと共同して行い、東工大で行い、各方面から招待講演を依頼するとともに、一般講演も募集した。約60名ほどが参加し熱い議論を交わした。GLASTのブラックホール突発現象をフォローアップするための広島大学可視光望遠鏡の立ち上げも順調に進んでいる。
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