研究分担者 |
大橋 弘忠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80185355)
高木 周 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30272371)
伊藤 伸泰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70211745)
井田 喜明 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (30013535)
亀田 正治 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (70262243)
|
研究概要 |
本年度は,「火道流モデル」および「噴煙モデル」の研究について以下のような成果が得られた. 火道流モデルについては,定常流モデルについて,その地質学的条件やマグマ物性に対する依存性を理解する基礎となる解析解が得られ,さらに,その性質が気泡の核形成・成長,マグマの破砕,脱ガス作用という素過程に強く依存することが示された.また非定常モデルに基づいて,脱ガス作用の影響やドーム噴火の噴出率変動に関する解析が進められた.これらの火道流モデルに関連する素過程の物理について,高粘性流体の急減圧流動装置および相変化を含む衝撃波管実験装置を製作し,急減圧に伴う気泡の成長,破砕過程,高速流動現象を再現することに成功した.また,高粘性マグマに対する衝撃波管理論を構築し,これらの実験結果からマグマの破砕基準を推定することに成功した.さらに,上記の実験で観察される現象の基礎的な物理を解明するために,急減圧に伴う気相核形成の分子動力学モデルや気泡の変形を再現する新数値手法が開発され,解析が進んだ 火山噴煙モデルについては,乱流混合を定量的に再現する3次元火山噴煙モデルの構築に成功し,火砕流の発生条件や噴煙の高度を定量的に再現することが可能となった.本年度は,さらに,この数値モデルに基づく大規模計算を行い,ピナツボ1991年噴火の人工衛星データと比較することによって,野外データに基づく検証を行った.本3次元火山噴煙モデルは乱流混合を定量的な議論に堪える精度で再現することに成功した世界初の噴煙モデルであり,本計画研究の特筆すべき成果の一つである.火砕流のモデルについては,粉体の流動化に対する熱輸送の影響などの素過程に関する離散要素法による数値モデルの開発が進み,同時に室内実験を行うことによって数値モデルの検証が進んだ.
|