研究概要 |
申請者はES細胞の一遺伝子座として48kbからなるDnmt3b遺伝子座に着目して、DNAメチル化およびクロマチン構造変化の解析を行い、未分化なES細胞の染色体がヌクレアーゼに高感受性を示すダイナミックな構造をしていることを見い出した。この特殊なクロマチン構造が何に起因しているのか原因を明らかにするためにコアヒストン修飾を比較したが明確な違いは見出せなかった。そしてこの研究の過程でDNAメチル化酵素間の核内相互作用の特異性を見いだし現在論文を投稿中である。一方で詳細なクロマチン構造とその機能を解析するために、特殊DNA配列をもとに精製ヒストンとリンカーヒストンシャペロンを用いて均一な高次のクロマチンを再構成する5S-dinucleosom系を確立した(PNAS, Shintomi et al.,2005)。そしてこの実験系を用いて、初期胚型のリンカーヒストンが体細胞型ヒストンH1と異なってダイナミックなクロマチン構造を維持する特性を有している事を見い出し、さらに体細胞型ヒストンH1によるクロマチンダイナミクスの抑制はヌクレオソームに対する存在比によって大きく変化する事を明らかにした(PNAS, Saeki et al.,2005)。さらに高次のクロマチン構造におよぼすリンカーヒストンバリアントの影響を明らかにするために、30nmファイバーを試験管内で再構成する実験系を確立した。
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