本特定領域発足時から2つのテーマを持って研究に取り組んできた。その1つは、ES細胞を含め、複数の幹細胞で未分化状態特異的に発現する遺伝子をジーンタゲティングの手法を用いて解析するというものであるが、その一つとして、Jam-B遺伝子のノックアウトマウスを作製し、この遺伝子のES細胞、神経幹細胞、ならびに血液幹細胞での役割を検証し、昨年9月に、Mol. Cell. Biol.に論文を発表した。また、同様なラインにそった研究として、Sox2遺伝子のコンディショナルノックアウト解析を行い、同遺伝子の神経幹細胞における機能を明らかにした。 2つ目の研究目的は、ES細胞が持つ様々な特徴的な性質を分子レベルで明らかにするというものであるが、平成17年度に、ES細胞特異的転写補助因子UTF1の発現の低いES細胞は、ES細胞を用いた治療を実現する上で最も障害になるであろうと考えられている腫瘍原性が低下していることを明らかにし、論文を発表したが、そのUTF1とES細胞が持つ腫瘍原性との関係を確定的なものにする為に、UTF1ダブルノックアウトES細胞の樹立し、その細胞を用いてUTF1遺伝子の機能解析を行った。
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