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2005 年度 実績報告書

O-グリカンによるH.ピロリ感染の制御

研究課題

研究課題/領域番号 14082201
研究機関信州大学

研究代表者

中山 淳  信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10221459)

キーワードピロリ菌 / 糖鎖 / 感染症 / 発癌モデル
研究概要

本研究の目的はピロリ菌感染胃粘膜におけるO-グリカンの役割を明らかにすることである.前年度までの研究成果により,α1,4-GlcNAc残基を有するO-グリカンやパラニトロフェニルα-GlcNAcがピロリ菌の増殖を抑制することを明らかにした.この知見を基に新たな抗ピロリ菌薬の開発を目指して,平成17年度はGlcNAcα残基を有する誘導体でピロリ菌の増殖抑制効果を示す物質を探索した.12種類のGlcNAcα残基含有糖化合物を化学合成し,ピロリ菌の増殖抑制効果を検証した結果,フェニルα-GlcNAc,パラメトキシフェニルα-GlcNAc,オルトニトロフェニルα-GlcNAcが用量依存性にピロリ菌の増殖を抑制することを見出した.今後はこれらGlcNAcα残基含有糖化合物のピロリ菌増殖抑制効果ならびに安全性についてマウスを用いたin vivoレベルでの解析を行う予定である.次に,ピロリ菌の類縁菌であるH.felisが感染した胃粘膜の発癌過程で生じる糖鎖の変化を明らかにする為,INS-GASトランスジェニックマウスにH.felisを感染させ,8ヶ月間にわたって経時的に胃粘膜の形態像と糖鎖の発現パターンを解析した.感染2ヶ月後にはリンパ球浸潤を伴った慢性胃炎が生じ,MECA-79抗体により検出される硫酸化コア1伸長型O-グリカンを発現したHEV様血管も出現した.その後,胃粘膜には異型腺管(異形成〜上皮内癌)が発生し,感染8ヶ月後には50%以上のマウスに浸潤性腺癌が認められた.癌細胞はNCC-ST439抗体陽性,HECA-452抗体陽性,MECA-79抗体陰性よりコア2分岐型O-グリカン上にシアリルルイスXを有する糖鎖を発現していた.以上より,H.felis感染胃粘膜では慢性胃炎から異型上皮を経て進行癌が発生し,病態に応じて特徴的なO-グリカンが発現していることが明らかになった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Clinical utility of quantitative RT-PCR targeted to α1,4-N-acetylglucosaminyltransferase mRNA for detection of pancreatic cancer2006

    • 著者名/発表者名
      Ishizone, S.et al.
    • 雑誌名

      Cancer Science 97・2

      ページ: 119-126

  • [雑誌論文] Polysialic acid facilitates tumor invasion by glioma cells2005

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, M.et al.
    • 雑誌名

      Glycobiology 15・9

      ページ: 887-894

  • [産業財産権] N-アセチルグルコサミンの誘導体を含有するピロリ菌増殖抑制剤2006

    • 発明者名
      中山 淳, 山ノ井 孝, 藤田 雅也, 千室 智之
    • 権利者名
      信州大学, (財)野口研究所, 関東化学(株)
    • 産業財産権番号
      特願2006-70727
    • 出願年月日
      2006-03-15

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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