研究課題/領域番号 |
14082203
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50025706)
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研究分担者 |
川嵜 伸子 京都大学, 医学部・保健学科, 教授 (70077676)
馬 永 京都大学, 薬学研究科, 助手
岡 昌吾 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (60233300)
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キーワード | HNK-1糖鎖 / グルクロン酸転移酵素 / 硫酸基転移酵素 / 腎臓上皮細胞 / PCR |
研究概要 |
HNK-1糖鎖はN-アセチルラクトサミン(Galbl-4GlcNAc)構造の非還元末端に硫酸化グルクロン酸が結合した極めて特徴的な構造を持つ。最初、ヒトナチュラルキラー細胞に発現する糖鎖として発見され、その後の研究で神経系組織において特に高発現している事が明らかになった。本年度は、HNK-1糖鎖生合成酵素のマウスにおける組織分布を検討した。まず、HNK-1生合成に関わるグルクロン酸転移酵素GlcAT-P、GlcAT-S、硫酸基転移酵素HNK-1 STの臓器における発現分布を調べるため、マウスの種々の臓器のcDNAを鋳型とし、各遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCR反応を行った。その結果、GlcAT-Pは脳に強く、肝臓と腎臓にも発現が認められた。GlcAT-Sは脳と腎臓に強い発現が見られた。HNK-1 STはほとんどの臓器で発現が認められたが、GlcAT-Sが豊富な腎臓ではほとんど発現していなかった。これらの結果は、脳と腎臓ではHNK-1糖鎖抗原の発現様式が異なり、脳では硫酸化されたHNK-1抗原が、腎臓では硫酸化されていないHNK-1抗原が含まれること示唆していた。そこでC57BL/6マウスより脳と腎臓ホモジネートを調製し、ウェスタンブロット解析を行った。脳では硫酸化されたHNK-1抗原とのみ反応するHNK-1抗体および、硫酸化されていないHNK-1抗原とも反応するM6749抗体で同一のパターンが観察された。一方、腎臓ではM6749抗体でのみ複数の糖タンパク質が検出され、HNK-1抗体ではこれら糖タンパク質は検出できなかった。次に、この糖鎖の腎臓における局在を免疫組織染色により検討した。M6749抗体では腎臓皮質、特に、尿細管に強い染色が観察された。さらに詳細に観察した結果、尿細管上皮細胞の頭頂側面に限局的な染色が観察された。以上の研究は、腎臓上皮細胞に硫酸基を持たないHNK-1抗原を発現したタンパク質の存在を初めて明らかにしたものである。
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